スタンダード・ミサイル3:陸と海で弾道ミサイルを打ち砕く
SM-3迎撃ミサイルは、米海軍が短距離から中距離の弾道ミサイルを破壊するために使用する防衛用兵器です。
この迎撃ミサイルは、弾頭の爆発ではなく、純粋な運動エネルギーで目標を破壊します。その「キルビークル」は、時速600マイルで走る10トントラック並みの威力で脅威を撃破します。この技術は「ヒット・トゥ・キル」と呼ばれ、弾丸を別の弾丸で撃ち落とすようなものだと言われています。
陸上配備型SM-3
SM-3迎撃ミサイルは、欧州におけるミサイル防衛のための段階的適応アプローチ(PAA)の重要な構成要素です。この迎撃ミサイルは、欧州沿岸に展開する米海軍の艦艇に搭載されているほか、ルーマニアの陸上基地でも運用され、欧州の防衛力をさらに高めています。ポーランドで次期陸上配備型SM-3が運用されれば、ヨーロッパ全土が弾道ミサイルの攻撃から守られることになります。
SM-3には柔軟性があり、陸上と海上の両方で配備が可能です。そのため、弾道ミサイル防衛が可能な海軍を保有していない国々でも、広大な陸地を守備できるSM-3の素晴らしい能力を利用することができます。これはよく地域防衛と呼ばれます。SM-3は、他の低層用ミサイル防衛ソリューションと比較すると、より少ない設備で、より広い地域をカバーすることができます。
このプログラムでは、大気圏外での迎撃に30回以上成功し、400発以上の迎撃ミサイルが米海軍、海上自衛隊に納入されています。
SM-3ブロックIB
陸上でも海上でも、SM-3は試験で優れた結果を出し続けています。2014年には、ハワイのイージス・アショアの試験場からブロックIB型の初めての発射に成功しました。また同年後半には、太平洋で行われた非常に複雑な統合防空・ミサイル防衛演習で、短距離弾道ミサイルの目標を破壊しました。
SM-3ブロックIBは、強化された2色の赤外線シーカーを持ち、精密な推進を短くバーストさせ、ミサイルを迫りくる目標に誘導する操舵・推進能力が向上しています。2014年に運用が開始され、世界中の米海軍の艦艇に初めて配備されました。
SM-3ブロックIIA
レイセオン・ミサイルズ&ディフェンスは、日本と共同で次世代迎撃ミサイルSM-3ブロックIIAを開発しています。このミサイルは、弾道ミサイルの脅威からより広い地域を防衛できるようにロケットモーターを大型化したことと、キネティック弾頭を大型化したことの2点を他と異なる際立った特徴としています。また、このキネティック弾頭の改良により、探知、識別、補足、追尾機能が向上し、高度で新たな脅威にも対処できるようになりました。
SM-3 IIAは、2017年前半に行われた、実目標による初の試験で、高度な弾道ミサイルの脅威を迎撃しました。この完璧な迎撃に先立ち、2度の実目標を用いない飛行試験にも成功しています。また、同システムは2019年に実施されたNATO主導の現実の脅威シナリオを想定した国際演習にも参加しました。同盟国と防衛産業の力強い協力体制は、世界中の複雑な脅威を打ち負かすための即応態勢を確実にする大きな役割を果たしています。
ブロックIIA型はヨーロッパのミサイル防衛システムの中心的存在です。ヨーロッパの段階的適応アプローチの第3段階を完成するため、ポーランドに陸上配備される予定です。