デジタルトランスフォーメーション:よりスマートで迅速な働き方を追求するレイセオン・テクノロジーズ

レイセオン・テクノロジーズでは現在世界各国で「デジタルトランスフォーメーション」を進めている真っ最中です。

迅速かつ確実に効率よく製品の供給、整備、改良をすべく新しい方法を模索していますが、これはオペレーションの最適化とお客様への付加価値の向上を目指す当社の幅広い取り組みの一環です。

レイセオン・テクノロジーズのチーフ・デジタル・オフィサーであるヴィンス・カンピージは次の通りに述べています。「デジタルトランスフォーメーションはチームスポーツに似ており、多分野にまたがり、社内のあらゆる部署に関連するのです」

試作機の開発を考え直す

 

デジタル技術は製品設計に大きなメリットをもたらします。デジタル化された新たな手法であるモデリングやシミュレーションにより、エンジニアは精密で正確な3Dモデルを設計書から作成し、それを実世界のデータに落とし込むことで、設計されたものが具体的な状況でどのような性能を発揮するか確認することができます。

この方法は、これまでのようにプロトタイプを組み立て物理的に試験場へ持ち込むより、時間と費用を大きく削減することができます。さらに、テストはコンピューターの処理が可能な範囲で何度でも実施できます。

例えば、ある新型空中発射巡航ミサイルの開発者は、デジタル上で設計した機体を毎晩600万マイル飛行させています。そこでは実世界で再現し得ない、豊富な試験データが生成されているのです。

レイセオン・テクノロジーズの一事業部門であるレイセオン・ミサイルズ&ディフェンスのビジネス変革&推進担当副社長を務めるブライアン・ロセリは、次の通り述べています。「毎晩飛行させる度に学びがあります。さまざまな脅威に対しどう任務を遂行し、異なる環境下でどのように能力を発揮するのかを学ぶことができます。お客様が別の脅威シナリオを試してみたいと希望された場合は、コストのかさむ飛行試験を行う代わりに、モデリングで対応できるのです。開発プロセスだけではなく、学びや発見のプロセスも大幅に加速されます」

テキサス州マッキニーにあるレイセオン・インテリジェンス&スペースの先進統合・製造センターでは、オペレーターが自動化されたトルクツールを手に取り作業を行います。この施設では、組み立て指示があらかじめプログラムされた最新の自動ツールを導入し、オペレーターのワークフローを効率化しているのが特徴です。

データの利用者でありソースにもなり得る工場

 

生産現場におけるデジタルトランスフォーメーションは、約20,000の製造機器をネットワークに接続する作業を通して進められています。

オペレーション&サプライチェーン担当上級副社長のパオロ・ダルシンは、その狙いをデータリポジトリだと説明しています。データリポジトリがあれば、レイセオンの200箇所ある製造施設すべてで進行している作業について、従業員が深く詳細な知識をオンデマンドで求めることができます。「これは、拡張性のある生産体制の出発点だと考えています。設計者は、作業中の部品について情報を探し、それがどのように製造されているかをほぼリアルタイムで確認できますし、どのように製造されたのか過去をさかのぼることも可能です。また、現場で製品を取り扱う人ですら、その製造方法を正確に知ることができます」

ダルシンによれば、データ共有がもたらす価値はサプライヤーにも及びます。サプライヤーとのより良い調整が可能となるのです。なぜなら当社としては納期の数か月前の段階でサプライヤーが適切な製造過程にいるかを確認することができますし、サプライヤー側は部品需要を予測しやすくなり、製造過程で起こり得る問題について早期に注意を促せるので、両者ともよりうまく対処することが可能となります。「当社はサプライヤーの納品予定に対する確約を得たい訳ではなく、製造中の材料が向こう4週間、6週間、8週間、36週間先にも当社のニーズを補える量を備えているか、そこが知りたいのです」

その上、このようなデータは、既に現場で使われている製品にも大きな恩恵をもたらします。予測分析によって現在使用中の製品をモニターし、お客様に交換時期を助言することで、サービスの中断が起らないようにすることができます。

またダルシンは次のようにコメントしています。「使用されている製品のパフォーマンスをモニターすることによって、お客様自身では知ることができない傾向を特定することができます。ひいては、製品や顧客とのこうした関わりを通じてニーズを見極めたり、パフォーマンスを改善することにもつながるのです」

従業員満足度の原動力

 

レイセオン・テクノロジーズのデジタルトランスフォーメーションには、もうひとつの目的があります。従業員の成長を促すことです。

クラウドデータやリアルタイムの遠隔コラボレーションツールの利用拡大、さらに、データの自動入力やスマートワークステーションなど最先端の製造テクノロジーの普及がそれに当たります。

こうしたアプローチは既に生産サイクルのスピードアップを実現しています。なかには30%能率向上した事例もあり、新しい方法が定着するにつれ、そのメリットは増える一方です。カンピージによれば、製造の高速化は従業員の満足度向上を意味します。「人は仕事を探している時、大いなる使命を帯びた企業に就職したいと考えます。レイセオンがそのような企業であることは我々自身が信じ、事実そうであると実感しています。さらに、自身が貢献した仕事が適時現場に導入されるのを見たいとも考えるでしょう。ほかの業界はこれを実現していますので、当社にも実現は可能です。実現された際には非常に大きな価値がもたらされるでしょう」

長期的には、新しい手法が斬新だなどと騒ぎ立てるのではなく、それが当たり前に思える日が来るといいとカンピージは言います。「望むのはそれぞれ異なる働き方をするよう教える先駆的なプログラムではなくて、驚くような新たな体制が日常の状態になり、どのプログラム上でも同じように働ける状況を達成することです」